私にとってアンティークの魅力とは大きく分けて2つあります。
1つは現代の画一的なアクセサリーにはない、個性に溢れた美しい細工の宝飾品としての魅力。
もう1つは歴史と密接に関わった時代を表す鑑としての魅力です。

アンティークジュエリーの歴史は、ヨーロッパ時代の王室の栄枯盛衰と深い関わりを持っています。王や帝の権力と特別な地位を誇示する象徴として、希少な宝石や貴金属は、まさにうってつけのものでした。
歴史を遡れば、古代エジプトの時代から黄金や貴石で作られた装身具は、王家や位の高い貴族・神宮の身を飾り、高貴な身分の象徴、或いは護身のお守りとして使われてきました。

16世紀、絶対王制の時代には、権力と富の象徴として身に付けられ、また、莫大な戦費調達の際の担保としても使える実用性も兼ねていました。専属の貴金属の細工師達が、貴重な金や貴石を使い、ひとりづつ丁寧に美術工芸品といえる宝飾品を創りあげていた時代です。

18世紀には、フランスで革命が起きます。その暴動のきっかけともいえる、ルイ16世王妃マリーアントワネットの“王妃の首飾り事件(映画にもなりました)”は、宝飾品が限られた階級の豪華さの象徴として、いかに一般大衆の生活とかけ離れていたかを示しています。

その後、フランス革命を経て19世紀初め、ナポレオン帝政の時代、また、ヴィクトリア女王の即位後、繁栄を極めた大英帝国の時代、ジュエリーは時代と体制に沿ってナポレオン1世は、イタリア遠征を経て、ギリシャローマ時代のカメオに強く魅了され、その影響を受けてカメオ彫刻を推奨。
素晴らしいカメオの宝飾品がこの時代に次々と生み出されました。

また、英国ヴィクトリア女王の時代(1837〜1901)には、ジュエリーの裾野が広がり、華やかな装飾品の他にも、銀やカットスチール等、安価なアクセサリーも多く作られるようになりました。

限られた階級のものであったジュエリーが、産業革命によって経済力を身に付けた新興の市民階級へと拡がり、また、世界に散らばった植民地からの貴金属や宝石(オーストラリアのオパール等)の流入がそれに拍車をかけます。

こうして様々なアンティークジュエリーは、私達に歴史を伝える楽しさと、美術工芸品を見るような喜びを与えてくれます。